事業1 宅配ロッカーでのクリーニング受渡し

この事業アイディアは1993年に考案したものです。このアイディアがどうやって⽣まれたか をお話ししましょう。

消えた御⽤聞き

クリーニング屋さんには昔「御⽤聞き」といって定期的にお客様を訪問し、洗濯物(⾐類)を回収するというビジネスモデルがありました。
しかし最近ではお客様の在宅率が低く、いわゆる「空振り」が多くなり、⼈件費が合わないという理由から次第に姿を消していきました。

取次店ブーム

その後クリーニング業界は「取次店」ブームとなります。
いたるところに出店し、近隣のお客様に⾐類をお店に持ってきてもらうというスタイルに変わっていきました。
異業種の酒屋やたばこ屋さんなどが次々にクリーニングの取次店に転業していったのです。
ところがやがて取次店が増えすぎて過当競争/価格競争になってしまいました。

マンションでの宅配ロッカー

一方その頃、都会のマンションでは住民のライフスタイルが変化し、昼間(夜も?)家にいない「不在率」が高くなってきたことから、その対策として不在でも宅配物を無人で預かってくれる宅配ロッカーの設置が広がりつつありました。

宅配ロッカー+クリーニングという⾜し算

そこで思いついたのが「宅配ロッカー+クリーニング」という⾜し算です。
宅配ロッカーの横に夜間⾦庫のようなクリーニングポストを設置します。
住⺠は汚れた⾐類をマイバッグに⼊れて都合のいい時間にポストへ投⼊、クリーニング業者は都合のいい時間に回収し、クリーニング後にこれまた都合のいい時間に宅配ロッカーへ仕上がり品を配達します。
住⺠はまたまた都合のいい時間にロッカーから取り出します。
クリーニング代の決済は⼝座振替、という事業アイディアです。
これをマンションデベロッパーへ提案したところ思いのほか好評で、またたく間に採⽤するマンションが広がっていきました。
アイディアのきっかけは24時間営業のクリーニング店がなかったこと。
⽣活時間の不規則な現代⼈にとってはこれは不便ですよね。
ところが、あれだけいろんなサービスをやっているコンビニでは、何故かクリーニングの有⼈受付ができないのです。
これがヒントでした。
ならば、コンビニの店頭の代わりに宅配ロッカーをプラットフォームにして、そこにクリーニング業者が集配すれば良いんじゃないか!?ということでした。

今でこそ「あるよね」という組み合わせですが、当時としてはまさにコロンブスの卵。
「⾜し算」という発想も「あるある」ですが、問題は何と何を「⾜す」か?
顧客/住⺠のライフスタイルの変化に直⾯していたクリーニング業界とマンションデベロッパー、それぞれにとっての課題が「⾜す」ことで解決されました。
課題の在りかとそれをどう組み合わせることでソリューションに仕⽴て上げられるか?
事業アイディア創出の醍醐味はまさにそこにあります。

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